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芽キャベツの栽培方法と育て方】

芽キャベツ

芽キャベツの栽培方法(苗植えから収穫、保存方法まで)をご紹介します。

 

 

芽キャベツとは

芽キャベツは、小さいキャベツのような2~3cmほどのわき芽(葉や茎の付け根から出る芽)が、ブドウのような鈴なりに茎の周りに結球(葉が重なって球状になること)してできる変わった見た目をしたキャベツの仲間です。ヒメカンラン、子持ちカンランとも呼ばれます。

芽キャベツの種類は、早生子持(結球性に優れていて育てやすい)、ファミリーセブン(形のよくしまった球に育つ)、子持甘藍などの品種が早生種で栽培期間も短く育てやすいで

す。

芽キャベツの栽培時期は、4~6月の春まきと7~9月の夏まきがあります。

ですが春植えより夏植えのほうが、病気や害虫などの被害が少ないのでおすすめです。

生育初期はキャベツと同じような姿をしています。

キャベツと同じで冷涼な気候を好みます。

 

芽キャベツの栄養

芽キャベツは栄養価が非常に高く、キャベツよりもたくさんの栄養が含まれています。

ビタミンA、C、K、βカロテン、食物繊維、カリウム、タンパク質、カルシウムなども豊富に含んでいます。

ビタミンKには止血作用、βカロテンには免疫力アップや抗酸化作用などがあり、がん予防にも効果があります。

ミネストローネなどスープ料理や煮込みにすることで、甘みが出ておいしく食べられます。

栄養満点で健康にも美容にもよい野菜です。

 

芽キャベツ栽培のポイント

アブラナ科の野菜で連作(同じ場所で同じ作物を育てる)を避け、2年以上は間隔をあける。

・日当たりがよく、水はけのよい土壌で育てる。

・生育適温は15~20℃で、高温多湿を嫌い乾燥した冷涼な気候を好みます。

・発芽温度は15~25℃で、結球温度は10℃前後です。23℃以上になると結球不良や病気の発生が多くなってしまいます。

・土壌酸度(pH)の適正は6.0~6.5が目安です。

元肥をしっかりと施し、生育初期で株を大きく育てる。茎の太さ4~5cm以上に育てることで多収穫が望めます。

・生長すると草丈60~70cmくらいになるので、支柱や土寄せで倒状を防止する。

・収穫時期が遅れると葉が開いてしまうため、早めに収穫をする。

・栽培に適した期間が短い。涼しくなり始める時期に植え付ける。

(暖地:9月上旬~中旬が目安、中間地:8月下旬~9月上旬が目安)

 

苗の選び方

芽キャベツ

芽キャベツの苗は8~9月頃に購入できます。

よい苗の選び方は、濃い緑色で茎がしっかりとしていて子葉が残っているものがいいでしょう。

葉や茎が傷んでいないか、害虫などの被害に遭っていないかなども大事なポイントになります。

 

【栽培時期】

芽キャベツの種まき時期は地域差もありますが、8月上旬以降の夏まきです。

4~5月の春まきもありますが、害虫被害に遭いやすいのであまりおすすめはできません。

収穫時期は種まきから約4~5ヶ月です。苗から植えた場合は約2.5~3ヶ月です。

暖地は9月上旬~下旬を中間地は8月下旬~9月上旬を目安に植え付けをしましょう。

 

【土づくり】

芽キャベツを育てる土にするためには

・植え付けの2週間前に、苦土石灰100g程度を撒いて耕す。(1平方メートルあたり)

※土壌酸度(pH)6~6.5くらいに調整しましょう。

・植え付けの1週間前に、堆肥を2kg、化成肥料(15-15-15)や化成肥料(8-8-8) など50g程度を撒いて耕す。(1平方メートルあたり)

アブラナ科の野菜で連作(同じ場所で同じ作物を育てる)すると、土壌病害が発生しやすくなるので注意しましょう。

栽培後は2年以上の間隔をあけて輪作(同じ場所に異なる種類の作物を、一定の順序で繰り返し作物を育てる)をしましょう。連作をしたい場合は土壌の対策が必要になります。

 

【畝立て・植え付け方】

芽キャベツ植え付け

・畝は幅60cm程度、高さは15cm程度で、しっかりと耕して根張りをしやすくしましょう。

・苗の植え付けの株間(植え付ける間の距離)は、早生種は30~40cm程度、中晩生種は

40~45cm程度で、1条植え(条は畝に植える列)で植え付けていきます。

・2~3cmほど覆土(土をかぶせる)して、その上に化成肥料(8-8-8)を100~150g撒きます。(1平方メートルあたり)

 

【水やり】

発芽するまでと苗植え付け後は、乾燥させないようにこまめに水やりをしましょう。

苗が根付いたら、土の表面が乾いた時に水やりをする程度にします。

その後は、回数は少なめで1回の水やりの量を多めにするといいでしょう。

あまり回数が多いと病気が発生しやすくなってしまうためです。

水やりの時間帯は、朝は気温が上がる前、夕方は気温が下がってからが目安です。

※気温の高い日中の水やり、気温の下がる夕方でも秋以降の水やりは冷えて病気が発生しやすくなるため控えましょう。

 

追肥・土寄せ】

1回目の追肥は、苗の植え付けから約3週間後に1か月ごとを目安に、化成肥料(8-8-8)や

即効性の肥料(窒素が高め)を一握り程度で、畝の間に撒いて軽く混ぜてから土寄せ(株元に土を盛ること)をしておきます。

※肥料は葉にかからないようにしましょう。肥料を土と混ぜる際、根を傷めないよう土壌表面で混ぜます。

苗の根元が地上に露出し日が当たると、株の生育が弱まってしまいます。土寄せはしっかりとしましょう。

その後は、1か月ごとを目安で同じように追肥をしていきます。

生育期間がキャベツより長いため、追肥の量と回数もキャベツよりも多いです。

※苗が大きくなるにつれて株元から少し離れたところに肥料を撒くようにしましょう。

 根の先端のほうが肥料の吸収がよいためです。

半分くらい収穫をした後に、定期的に追肥をすることで長く収穫ができます。

 

【支柱立て・下葉かきと下芽かき】

芽キャベツの栽培では、草丈が30~40cm程になったら支柱(約1mの太めのもの)を立て

て倒状防止(倒れの防止)をします。(時期的に台風などの対策のために)

※支柱を立てる代用として、しっかりと土寄せするなどして対策しておくのもいいでしょう。

本葉が20枚くらいになると、わき芽が結球し始めます。

葉かきを行って、日当たりや風通しをよくして球の肥大を促してあげましょう。

やり方は、頂部の葉を10枚以上残して、地上から10cmほどの下葉は全てかき取ります。

結球は下から上に進んでいくので、一気に葉を取ってしまったりして生長の妨げに

ならないように、下から順に古い葉を切り取ります。

※葉かきの際は、少し残して切るようにしましょう。

葉を茎の根元のギリギリで切り取ると、芽球を傷めたり取れたりするおそれがあるので注意しましょう。

下芽かき(根元付近の形の悪い結球を摘み取る作業)も同様に行いましょう。

葉かきをする頃に株元から10節くらいを目安にして、形の悪い芽を摘み取ります。

※形の悪い芽は生長して大きくなっても形はよくなりません。

芽キャベツ



【収穫】

芽キャベツの収穫時期は、苗の植え付けから約3ヶ月です。

収穫のタイミングは、芽球の大きさが2~3cmほどで固く締まってきた頃です。

収穫方法は、手でもぎ取るか、ハサミで根元から切り取り収穫します。

下の芽球から順番に締まっていき株の上に次々と芽球がなります。(約60~70個ほど)

うまくいけば約2ヶ月収穫ができます。

※収穫が遅れると芽球が破れてしまうので、収穫のタイミングを逃さないように注意しましょう。

芽キャベツは、下から順番に芽球が収穫できるようになります。上に新しい芽球がついていくので、常に頂部から10枚程度の葉は残して生長させましょう。

芽キャベツ収穫



【保存方法】

芽キャベツは乾燥を嫌うので、キッチンペーパーを濡らし芽キャベツを包んでから、密封できる保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。3~4日の保存ができます。

キッチンペーパーはこまめに取り替えましょう。

茹でてからの保存もできます。

水洗いして水気をしっかり切り、密封できる保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

3週間くらいの保存ができます。軽く茹でても同じように冷凍保存ができます。

 

【病気・害虫対策】

畑は、ちゃんと管理しないと畝の周囲など雑草が生い茂ります。

雑草は、害虫の温床にもなるのでこまめに抜いて管理しましょう。

 

雑草対策

雑草対策は、普通に抜いて処理をする他に、防草シートを敷く、専用の除草剤を使用するなどの方法があります。

雑草対策に適した薬剤の種類

・液剤タイプ(茎葉処理型)  

雑草がすでに生い茂ってしまった場合に速効性があり、雑草のみを処理できて

土壌に浸透もしないので使いやすいです。

・粒剤タイプ(土壌処理型) 

雑草が生え始めの処理や、予防に向いています。速効性はないですが長時間の効果あります。

・ハイブリットタイプ(茎葉処理・土壌処理型)

速効性と持続性の効果を併せ持っています。

 

害虫対策

害虫は、雑草が多い場合や乾燥が続くなどの状況で発生しやすくなります。

芽キャベツなどアブラナ科の野菜では、アオムシの害虫被害が多いです。他にも、ハイマダラノメイガ、アブラムシ、ヨトウムシ、コナガなどの害虫がいます。

特に幼苗の期間はしっかりと害虫対策をしましょう。

芽キャベツに発生しやすい害虫

 

 

・アオムシ

アオムシ

アオムシはモンシロチョウの幼虫で、体長3cmくらいまで成長する。

葉を食害して穴をあける。

夏場は天敵が活発なため、発生は少ないです。冬場は蛹になり越冬します。

特に植え付け直後の食害は、収穫量に影響するので注意しましょう。

対策は、苗を植え付け後に不織布などのトンネル掛けや防虫ネットを使用して、成虫のモンシロチョウの飛来や産卵の対策しましょう。

雑草にも産卵するので、周囲の雑草の処理をちゃんとすることも対策になります。

 

 

・ハイマダラノメイガ

ハイマダラノメイガ

幼虫が葉を食害します。体長20mmほどで色は薄黄色です。

アブラナ科の野菜に多く発生する害虫で、暖かい春から発生し1年に世代交代を繰り返して発生していきます。

葉脈などの中に潜むことがあり、新芽を好んで食害するため生長が阻害されて大きな被害が出ます。

対策方法は、被害場所をチェックし見つけたら駆除する。防虫ネットなどを使用して成虫の飛来や産卵の対策しましょう。

 

 

・アブラムシ

アブラムシ

病気を媒介することがあり、ウイルス病を伝染させる可能性があります。

葉の裏で吸汁するので、葉の萎縮、生育阻害を引き起こす。

体長1~3mmの小さな虫で、一年を通して発生し葉などの汁を吸って増え、短期間で増殖する厄介な害虫です。色は赤っぽい色、緑色、黄色、黒色など様々です。

対策方法は、見つかった場合はその葉は処理して、被害を受けた近くにマルチングするなどして対策します。

発生初期にしっかり駆除することが大事です。大量発生してしまった場合など薬剤を用途に合わせて使用しましょう。

 

 

・ヨトウムシ

ヨトウムシ

 

芽キャベツを食害するヨトウムシには、ヨトウガ、ハスモンヨトウの幼虫がいます。

夜に出てきて様々な植物などに発生し食害する。成長すると昼間は土の中に隠れ、夜に活動しはじめる。

成虫のヨトウガは、葉の裏に卵を産み付ける。

対策方法は、植え付け前に土壌をよく耕して幼虫や蛹を見つけたら駆除します。

植え付け後は、防虫ネットなどを使用して成虫のヨトウガの飛来や産卵の対策しましょう。

葉の裏に大量に卵を産み付けるため、葉の裏をまめにチェックしましょう。

見つかった場合はその葉は処理します。

葉に被害が出ても見つからない場合は、土の中を探ってみます。見つけたら駆除します。

薬剤などを用途に合わせて使用しましょう。

 

 

・コナガ

コナガ

 

表面に細い毛が生えている蛾の幼虫。体長10mmほどで、色は薄黄色~薄緑色です。

アブラナ科の野菜に多く発生する害虫で、暖かい春から発生し1年に世代交代を繰り返して発生していきます。

葉の表面を食害して白い跡を残す。放置すると食害されたところが破れる場合があります。

特に幼苗の時期の被害は、生長が阻害されて大きな被害が出ます。

対策方法は、被害場所をチェックし見つけたら駆除する。防虫ネットなどを使用して成虫の飛来や産卵の対策しましょう。

 

病気予防

病気は、べと病、菌核病、立枯病、根こぶ病などがあります。  

病気の原因としては、葉が込み合って日当たりが悪い、土壌の多湿、排水不良などでなりやすくなります。

芽キャベツがかかりやすい病気

・べと病

べと病はカビが原因で起こる病気で、多湿や長雨(梅雨や秋雨)のときに発生しやすいです。

地面に近い下の葉から進行して葉の表面に薄い黄色のような病斑ができ、被害が進んでしまうと病斑が拡大してカビが発生し、やがて中央が黒くなって枯れてしまいます。

さらに厄介なのが、病気にかかった葉からカビの胞子が作られると風で飛散し伝染していくため、他の野菜にも感染のおそれがあります。

予防法は、水のやりすぎに注意し根元の風通しをよくすることが大事です。

発病した枯れた葉はすぐに取り除き、畑の外で処分します。落ち葉にも注意しましょう。

薬剤を使用する場合は、総合殺菌剤がおすすめです。広範囲の病気に対して防除効果があります。

・菌核病

菌核病もカビが原因で起こる病気で、多湿な環境で発生しやすいです。

芽キャベツなどのアブラナ科だけではなく、他の作物にも感染します。

葉の一部が水に染みたようになって腐敗します。被害が進んでしまうと病斑が茎を伝って他の部分に伝染します。べと病と同様に、病気にかかった葉からカビの胞子が作られると風で飛散し伝染していくため、他の野菜にも感染のおそれがあります。

予防法は、アブラナ科の野菜の連作を避けましょう。

肥料切れや水のやりすぎに注意し、土壌の排水をよくすることが大事です。

発病した葉や茎はすぐに取り除き、畑の外で処分します。

薬剤を使用する場合は、総合殺菌剤がおすすめです。広範囲の病気に対して防除効果があります。

・立枯病(苗立枯病)

立枯病は糸状菌のカビが原因で起こる病気で、水はけが悪く、長雨(梅雨や秋雨)の時に発生しやすいです。

根にカビが感染し腐敗させて、養分の吸収を妨げてしまいます。

葉が黄色に変色したり、株がしおれたりした場合は注意です。被害が進んでしまうと、根が茶色に変色し立ったままで枯れてしまいます。

一度感染すると、感染した作物を処理した後も土壌に胞子が残っていたり、菌糸が付着したものがあると再発する場合があります。苗立枯病は、立枯病が発芽から幼苗の時期にかかることです。

予防法は、アブラナ科の野菜の連作を避けましょう。植え付け前に薬剤を土壌に染みこませることで効果があります。

肥料切れに注意し、土壌の排水をよくすることも大事です。

発病した株はすぐに取り除き、畑の外で処分します。

 

薬剤には様々なタイプがあるので、その時の状況や用途に合わせて作物への影響を考慮した上で使用することが重要です。やみくもに使うことはやめましょう。

もちろん何も使わずに雑草を処理し、害虫や病気を防止・管理していけるのが望ましいですが、実際のところなかなか難しいと思います。

困ったときや手に負えない場合には、薬剤を正しく使用して助けてもらうのも1つの方法かと思います。

 

病気や害虫による大きな被害を防ぐために重要なのは、生育環境を適切に維持するということです。

日当たり、水はけ、風通しは良好か、水やり、肥料の量は適切か、肥料や土に問題はないか、など挙げればキリがないほどありますが、適切な管理を行い大事に育てた野菜を守ってあげましょう。

 

 

ここまで、芽キャベツの栽培方法と育て方に関して書いてみました。

農業の先輩方の様々な経験やアドバイス等を、参考にさせて頂き学ばせてもらい

書かせて頂きました。

是非、これから農業を始める方や興味をお持ちの方に読んでいただけると幸いです。