【保存版】初心者のための ホーム玉ねぎ栽培法 完全ガイド
【ホーム玉ねぎの栽培方法と育て方】
ホーム玉ねぎの栽培方法(種まきから収穫、保存方法まで)をご紹介します。
ホーム玉ねぎは、玉ねぎの中でも簡単に育てられる品種です。
別名サラダ玉ねぎとも呼ばれる小型の玉ねぎで、種からではなく種球(小さい玉ねぎ)を
植えるタイプなので、初心者の方でも簡単に育てらます。
栄養がたっぷり
玉ねぎというと、血液をサラサラにする成分が有名かと思います。
健康野菜で、糖質・ビタミンB、C・カリウム・リンアシン・ケルセチン・食物繊維などが豊富に含まれているのです。
サラダ玉ねぎと呼ばれる通り、柔らかく甘みも強いのでサラダにして食べるのがおすすめです。オニオンリングなどもおいしいです。
【栽培時期】
玉ねぎは早生種・中生種・晩生種と3つの分類があり、ホーム玉ねぎは早生種に分類され、植え付け時期は8月~9月で、収穫時期は11月以降となります。
植え付け時期はまだまだ暑い可能性が高いですが、できるだけ暑さが和らいでからが望ましいです。
注意すること
・日当たりの良い場所で育てる
・肥料のやりすぎや遅効性肥料は、病気や害虫が発生しやすくなるので注意する
・苦土石灰でしっかりと酸度調整をする
・植え付け時は、種球の先端が見える程度に
・大玉に育てるためには適した時期に追肥を行う
・水のやりすぎには注意する(乾いていなければ雨などで大丈夫です)
【土づくり】
ホーム玉ねぎを育てる土にするためには
・2週間前に苦土石灰150gを撒いて耕します
※酸性土壌に弱いので、事前にpH(酸度)の調整をしっかり行いましょう
・1週間前に堆肥2~3kg、化成肥料(15-15-15)100g、ヨウリン50gをそれぞれ1平方メートルに施す
※堆肥2~3kg、化成肥料(14-14-14)150gでも代用可能
※元肥は全面に撒いて耕すこと
種(今回は種球)を植え付ける1週間前までに、全ての土づくりを完了させておきます。
注意点は、土づくりが終わってすぐに植え付けはしないことです。
石灰のアルカリ分が強いので根を傷めてしまいます。
【畝立てとマルチング】
土づくりができたら、畝を作ります。
・高さ10~15cm、幅60~100cm(横幅)
できるだけ畝は平らにならして仕上げると、あとで追肥をしやすくなります。
畝立て後は、植え付けの前にマルチを貼ります。
玉ねぎは、マルチングをすることで雑草や害虫対策になり、管理がしやすくなります。
マルチは黒色がいいです。黒色のマルチを使うことで、マルチの下に太陽光が届かないため雑草が生えなくなります。
マルチの穴や畝の間に生えてくる雑草の処理だけで済むので、管理もしやすくなります。
雑草が生えると種球の生育が雑草に負けてしまうため、雑草の管理がとても重要なのです。
もう1つのメリットとして、黒色のマルチは地熱を上げてくれます。
地熱が高いと発根しやすくなり、生長を促すので球が大きく育ちやすくなります。
唯一のデメリットは、マルチは畝を覆っているため追肥がしにくいことです。
ですがメリットのほうが遥かに上回るので、黒色マルチの使用をおすすめします。
では、マルチを貼っていきましょう。
畝の外側にマルチを置き、マルチ用の杭(クイ)を隅にうって固定します。
マルチを畝にそって広げていき、畝の外側まで貼れたらこちらも杭を隅にうちます。
マルチのふちに土をかぶせて、風で飛ばないように固定しましょう。
【植え方】
種球を植える際は、株間(植え付けた株と株の間の距離) 10cm、条間(隣り合った株間と株間の間の距離、1列)20cm程度が目安です。
穴あきマルチを使用することで、丁度いい間隔で穴があいているので植え付けに便利です。
深さは1cmの植え穴を掘り、種球の先端が少し見える(1/3くらい)ように浅植えします。
(深植えしすぎると生育が悪くなってしまいます。)
植え付け後は、根付くまで乾燥に注意して水はたっぷりと与えましょう。
発芽期間は植え付けから1週間~10日くらいです。
ねぎ坊主
玉ねぎは、植える時期が遅く低温に当たってしまうとトウ立ちしてしまいます。
その状態になったものを、ねぎ坊主と呼びます。
ねぎ坊主が出ると大きく育たなくなってしまうので、早めに摘み取りましょう。
摘み取る時は、りん茎の分かれ目から5~6cmくらい残して取ってください。
ちなみに、天ぷらにして食べることもできます。
ねぎ坊主が伸びた株は、芯が固くなってしまうので葉玉ねぎとして食べましょう。
【水やり】
水やりは、芽が出るまでの1週間~10日くらいは、乾燥しないようしっかりと行いましょう。ホーム玉ねぎは、加湿に弱いため発芽後は乾燥気味にして育てます。
ですが1週間以上晴れが続いた場合は、多めに水をやりましょう。
【追肥】
追肥のタイミングですが、1回目は植え付けから1ヶ月で行います。
1株当たり化成肥料10gを施し、周りの土と混ぜます。
2回目は、その1ヶ月後(植え付けから2ヶ月)に同じ要領で行います。
水やりを兼ねて薄めの液肥を週1回与えることも効果的です。
マルチを張っている場合は、1穴ごとにひとつまみずつ化成肥料を施すのがいいでしょう。
畝が平らにならされた状態なら、畝の穴にそって肥料(1平方メートルあたり30~50g程度)を撒いていきます。マルチに肥料が残っても、雨で溶けて穴に入っていきます。
畝がでこぼこな場合は、雨で溶けても低い位置にある穴に肥料が偏ってしまったり、全体に肥料成分が行き届かない可能性があるので、このやり方はやめましょう。
マルチをまくり、畝の片側(植え付けをしてある山の端)に施して耕しマルチを戻す。というやり方もありますが、マルチを剥がして張り直すという手間がかかります。
追肥は1回目を行った時期から球の肥大化が始まります。葉の色が悪くなると追肥が必要なサインです。
それぞれ合った方法と適切なタイミングで、追肥をして大きく生長させましょう。
※追肥では、遅効性の肥料は病気の発生要因となるので速効性の肥料を使用すること
【収穫】
ホーム玉ねぎは、収穫間近になると茎葉が自然に折れて倒れてきます。
そこから1週間ほどはまだ玉は太るので、茎葉が倒れて1週間程度が収穫適期です。
収穫時期は、植え付け時期により前後しますが10月~1月頃となります。
収穫方法は、球の近くの茎を持って引っこ抜きます。先端を持って抜くと、ちぎれてしまうので注意してください。
収穫が遅れると、柔らかい球になってしまい貯蔵性が悪くなります。収穫適期を逃さないようにしましょう。
収穫した球が小さなうちは、茎葉が柔らかく葉玉ねぎで食べられます。鍋の具材や炒め物がおすすめです。青ねぎの代用としても使えます。
【保存方法】
ホーム玉ねぎは、早生種なので保存期間が短いです。そのため数日晴れた時に収穫します。
雨が続いた後すぐに収穫すると、玉が余分な水分を吸って水太りになります。
その状態だと腐りやすくなってしまいます。
抜いた後に2~3日ほど日陰で乾燥させます。乾燥が足りないと、切り口から乳液状の汁がにじみ出てカビで腐る原因にもなります。
しっかり乾燥させた後は、茎を5~10cmくらい残して切ります。
茎葉のあたりをヒモで結んで、5~10個の吊り球を作ります。(個数はお好みで調整)
そのあとは直射日光を避け、風通しのよい場所に吊るして保存しておきましょう。
ネット使うと便利で、入れて吊るすだけなので簡単にできます。
高温多湿に弱いため、基本的には多湿になる冷蔵庫に入れるよりもこの保存方法が向いています。
ただ、吊るす場所の確保が難しい場合は、密着しすぎない程度にダンボールに入れ日陰で保存するやり方もあります。(ただし、気温の高い夏場の常温保存はNGです)
玉ねぎはなるべく常温保存が好まれますが、気温の高い夏場などの保存方法は冷蔵庫に入れましょう。
冷蔵庫で保存する場合は、新聞紙に1つずつ包んでビニール袋に入れて、湿気対策を充分にしてから保存するといいです。野菜室で保存できるとなおいいでしょう。
【病気・害虫対策】
農業の天敵である病気や害虫。その種類ごとに、ホーム玉ねぎに対する病気・害虫の対策をしていきましょう。
ホーム玉ねぎに発生しやすい病気
・腐敗病、灰色腐敗病、軟腐病、萎縮病、黒斑病、べと病など
病気が発生する原因として
・酸性土壌、窒素成分の多い肥料の使い過ぎ、土壌多湿、排水不良などが挙げられます。
べと病
特にべと病は、カビが原因で起こる病気で長雨のときに発生しやすいです。
葉の表面に薄い黄色のような斑点ができて、被害が進んでしまうとその葉から枯れてしまいます。
さらに厄介なのが、病気にかかった葉からカビの胞子が飛散し伝染していくため、発病した葉は早く取り除き、畑の外で処分をすることが大事です。
薬剤を使用する場合は、総合殺菌剤がおすすめです。広範囲の病気に対して防除効果があります。
ホーム玉ねぎに発生しやすい害虫
・ネギアザミウマ
特徴は、様々な植物に発生する害虫で、成虫になっても地面近くにいることが多い。
原因は、複数の作物を同じ場所で育てていたり、雑草が多いと発生しやすいです。
被害を受けると、葉に白っぽい小さな斑点が残ります。
対策方法は、雑草を丁寧に取り除くこと、マルチ張りで飛来、蛹(さなぎ)化の対策になります。発生してしまった場合は、初期に蒸しこみ(太陽光)による処理があります。
大量発生してしまうと、薬剤も効かなくなってしまいます。
・ネギハモグリバエ
特徴は、幼虫は体長3mm以下の小さな虫。葉の内部に生息する。
被害は、葉が奇形になることがあります。葉の中を食べ進み食害していきます。侵食して白
い筋のような跡を残し、多発すると葉全体が白っぽくなります。
一部は葉の内部に卵を残し、幼虫が葉からりん茎まで侵入します。
対策方法は、周囲の葉への被害の広がりを防ぐため、食害された葉を取り除くことです。
・ヨトウムシ
特徴は、様々な野菜に発生する害虫。夜行性で昼間は土中に隠れ夜に活動しはじめる。
成虫のヨトウガは、葉の裏に卵を産み付ける。
原因は、成虫が飛来してくる可能性があるため、周囲に別の作物がある場合に注意しましょう。
対策方法は、植え付け前に畑をよく耕す。幼虫や蛹を見つけたら、駆除する。
成長すると昼間は土中に隠れてしまい、さらに成虫は薬剤への抵抗性が高いため、幼虫の時
期に捕殺したり薬剤で対処します。
葉の裏をチェックし、卵を見つけたら孵化(ふか)する前に葉ごと取り除く。
成虫のヨトウガの飛来、産卵を防ぐため、べたがけ(不織布や寒冷紗などで直に畝を覆うこと)やトンネル(支柱を立て、ビニールなどでトンネル状に畝を覆うこと)で防止します。
・ネギコガ
特徴は、幼虫は小さく上記のネギハモグリバエに似ている。見分けるには幼虫を取り出し観察する。
被害も上記のネギハモグリバエに似ています。
対策方法は、幼虫はサイズが小さく防虫ネットで防除するのが難しいため、葉をチェックし
て見つけたら捕殺します。蛹も見つけたら駆除する。
周囲の葉への被害の広がりを防ぐため、食害された葉を取り除くことです。
・アブラムシ
特徴は、玉ねぎにつきやすく、体長1、2mmの小さな虫。一年を通して発生し短期間で増
殖する。
野菜から吸汁する害虫なので、ウイルス病を伝染させる可能性があるので注意が必要。
被害は、葉全体が萎縮します。モザイク病を媒介(仲介すること)します。
対策方法は、飛来を防ぐため、アブラムシが通れないくらい目の細かい防虫ネットをかけましょう。捕殺は、テープ、歯ブラシなどが便利です。
ウイルス病を伝染させないよう、増殖する前に駆除して被害を最小限にしましょう。
大量発生した場合は、葉ごと処分する薬剤の散布をします。
ホーム玉ねぎだけでなく、病気や害虫による大きな被害を防ぐために重要なのは、
生育環境を適切に維持するということです。
日当たり、水はけ、風通しは良好か、水やり、肥料の量は適切か、肥料や土に問題はないか
など挙げればキリがないほどありますが、適切な管理を行い、時には薬剤を使った対処法などを施して大事に育てた野菜を守ってあげましょう。
ここまで、ホーム玉ねぎの栽培方法と育て方に関して書いてみました。
農業の先輩方の様々な経験とアドバイス等を、参考にさせて頂き学ばせてもらいながら
書かせて頂きました。
是非、これから農業を始める方や興味をお持ちの方に読んで頂けると幸いです